—その森の記憶—  片山 みやび 展

企画展

—その森の記憶—  片山 みやび 展

2014年 11月22日(土)− 11月30日(日) 会期中無休
11:00〜19:00 23(日)・24(月祝)・30(日)は17:00迄 

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片山 みやび 「Blessing」油彩 F80号
第11回公州国際芸術祭(GIAF2014)出展作品

 光る水、絵画の森へ

 群れあい、ふるえて、舞い踊る葉っぱのようなざわめきで絵が満たされていく。絵画空間は、細かく微かに染みわたる色彩とかたちが漣のように拡がっている。
粒子状のざらついた雲のような、速度感覚を湛えた条痕が、にじんだ色彩空間と交際する。短い幕間の時間のなかで、ホログラムのように薄く折り畳まれた、それ自体が光る影の布置が、透明な翳りを帯びて現れる。
 片山みやびの仕事は、絵画、素描や版画などのグラフィックワーク、デンマークの森と空気に触れて始めたグラスワークなど、実に多種多彩だ。
それらの異種混淆体の素材、技法、イメージは、アーティストがある感覚や経験を表す口実やきっかけに過ぎないかもしれないが、まさにそれゆえに未知の自然との決定的で日々更新される関わりを告げる。多くの作品には、森の光や大気、流れる雲など、六甲山麓のかつての響きに遡ることができ、直接または間接的に、さまざまな場所の記憶と交感しながら、そのどこででもあるかのような、変幻自在の姿をほのめかす。熟した酒のような芳香とともに、ここではないどこかの知られざる未知の風景、自然との対話をもたらす。そのかけがえのなさが作品となり、記憶に刻まれている、未来にきっとあるであろう、未知の自然の風景とつながる。
 すみやかに駆逐されて失われていく自然のきらめきは、おそらく片山みやびの連作のなかにしか残っていないときが訪れるだろう。作品にほとんど人気(ひとけ)がないのは、自然というものを、原形動詞のように、予兆として、未然形でアーティストの経験すべてをかけて、身体全力で語るゆえであろう。作品はあるひそやかな秘密の場所。こうあるべき、ではなく、このように感じることはもはやないかも知れない、あるとしたら、こうかもしれない、という形式の作品。したがって、片山みやびのある種の作品は、未来の自然の姿を先取りする、祝福された秘密の場所、絵画の森と呼んでさしつかえない、と思える。日常に偏在し、すべてに響き渡るがゆえに、誰にも気づかず、眼にはみえない、音楽的な場所でもあり、松籟のような存在となる。それが絵画に、ガラスに、素描に、次々にアレンジメントされていく。絵画のコヒーレントな「影」としての、ふるまい、うつろい、として、版画のように作品に刻印される。空間そのものを折り畳んだ折り紙のように、自然のざわめきと響きとともに立ち上がる、コスメティックな光と色彩の陰影に向かい合う画家の系譜に連なる。月からみる地球のように、彼女の作品は、あるのだ。

  山﨑 均 (西脇市岡之山美術館客員キュレーター、神戸芸術工科大学教授)

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片山 みやび 「The Sky」油彩 F80号
第11回公州国際芸術祭(GIAF2014)出展作品

2会場にて同時開催

ワイアートギャラリー  

ワイアートギャラリーでは、GIAF2014出展作品と新作ガラス作品を展示
ワイアートギャラリー アクセス

※(GIAF2014第11回公州国際芸術祭(2014.10.4 から 11.2までに韓国公州市で開催された国際展に14カ国30名が招待出品日本より2名が招待出品)

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