いにしえの大阪港、難波津は大陸からの文化の窓口でした。焼きものも大陸からもたらされ、大阪は日本の焼きものの発祥の地とも言われています。いま、その地に陶文化の拠点づくりをめざして舞州陶芸館が建てられています。陶4展は、この舞州の工房で同時期に作陶に取り組んだ4人の作家がそれぞれの個性をぶつけあった3回目の発表展です。
今回は「オブジェな花器」という共通のテーマを設けることによって、それぞれの独創性をフォルム、土の焼きかた、釉薬の違いで見せています。
岡部元信の生きものをデフォルメしたユーモラスなかたちは、花器のイメージを一新させます。大亦みゆきのシンプルな花器は、焼成によって発色の違う微妙な色合いを巧みに使いこなし、どこか懐かしい街の風景が魅力的です。藤岡貢や松本真季は土を削ったり重ねることによって、次第にフォルムを作り上げていくという陶芸の基本作業を突き詰めながら、味わい深い作品を創作しています。