マニエール・ノワールの美
渡辺幹夫 銅版画作品
深い闇から浮かび上がる繊細で神秘的な、女性の馥郁たる身体。
自然な佇まいの女性美を再現するため、銅版画の技法のなかでも根気のいる銅板への細かい目たてと、
極度の集中力と時間を必要とする研ぎだしで描画を行うメゾチント技法でこれらの作品は創作されている。
作家は深い洞察力と、そして愛情をこめて女性の生命力と究極の女性美を造形した。
メゾチント技法は17世紀にルートヴィッヒ・フォン・ジーゲンによって考えだされ、
主に当時の大家の作品を複製する時や風景や静物を描く為に用いられたという。
やがて写真が発明されるとともに作業の膨大なこの技法はヨーロッパでは途絶えてしまったのを20世紀になって長谷川潔が最初に甦らせ、
その奥深い藝術性に驚嘆される。その後、パリにおいてジョニー・フリードランデルやS.W.ヘイターが追求し、浜口陽三ほかの作家がメゾチント技法で作品を制作してきた。
渡邉幹夫はメゾチントでは誰もやった事の無い女性の身体を暗闇の中から浮かび上がらせる作品を1983年より発表を始めた。
渡邉幹夫 はカタログレゾネ集 1 あとがきにこう述べている。
漆黒の闇の中から人間の形を浮かび上がらせ、光を与えて行く、その何かが生まれて行く
過程の中で、何とか人体の一歩奥深いところにある宇宙を感じたいと、努力しています。
それまで、誰も手がけた事の無い渡邉幹夫のこれらの作品はメゾチント版画の歴史に残る作品を創作したと現在では評価されている。長谷川潔、浜口陽三、渡邉幹夫という20世紀初頭から現在まで、日本人がパリを拠点に銅版画表現をリードする作品を創り出したことが注目され、世界の版画美術史上確固たる評価を得る事になった。
渡邉 幹夫 Mikio Watanabe
1954年 横浜生まれ
1977年 武蔵野美術短期大学卒業
23歳でシベリア鉄道でパリに入り、現在もフランス・ブルターニュに在住。
1979年 - 1981年 パリの「アトリエ17」でS.W.ヘイターに 銅版画技法を学ぶ。
1981年よりマニエール・ノワール(メゾチント)技法で作品を発表。
パリ、東京、大阪、神戸、ニューヨーク、スペイン、イギリス、スイスなど、
ヨーロッパ各地等で展覧会を開催している。受賞歴多数、パブリックコレクションも多い。
カタログレゾネ集 1(1981-1998) 及びカタログレゾネ集 2(1998-2005)が出版される
Sommeil 「眠り」
メゾチント 99×292mm
1996年 58/90
¥86,400(シート税込)
Intimité-Ⅰ「心の奥にⅠ」
メゾチント 75×110mm
1995年 70/70
¥21,600(シート税込)
Vague「波」
メゾチント 123×124mm
1988年 e.a
¥48,600(シート税込)
Telle Ⅰ 「大地Ⅰ」
メゾチント 115×324mm
1996年 60/90
¥74,520(シート税込)
Accroupie「うずくまる」
メゾチント 127×228mm
1991年 e.a10/10
¥70,200(シート税込)
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